久々の版権モノ、初音ミク。 これはMEGAふぇっぷすさんの-m-i-r-a-i-のジャケットイラストとして描かせて頂いたものです。
-m-i-r-a-i- というアルバムは、初音ミクを含めオリジナルVOCALOID曲のアルバムとして作成されたものです。 Faithful Moon, Banshee and Basilisk に引き続き、今回もジャケットその他を依頼されて描きました。 最近はイラストのみならず、ジャケットのデザイン全体という形でやってます。

ライナーの方にもある程度書いていますが、やはり初音ミク、VOCALOID2を最初に聞いた時には非常に驚いたものです。 私はPSGの頃からプログラマブル音源の曲に慣れ親しんできた人間です。 そういう古い人間からしますと、VOCALOIDという音声合成技術（正確には技術名は別にあって、VOCALOIDはソフトウェア名を表すのですが）は、まだつたないながらも、一つの夢の技術だと言えるわけです。 私もエンジニアの一人であって、エンジニアとしてこの技術が純粋に凄いものであるという思いがあります。 その敬意、別の形で言うと技術に対する祝福、それをイラストの一つのテーマとしたつもりです。
それはサブタイトルの一部にあるBless Your Birth という言葉にも現れています。 タイトルの-m-i-r-a-i-とサブタイトルの一部であるBless Your Birth というフレーズは何故か私の案だったりします（笑）
その他、音楽から生まれたばかりの雛鳥というイメージ、それと日本でなければおそらく生まれなかった技術であろうということから和風というのがこの絵のテーマになっています。

絵に関して言うなら…やはり派手な背景でしょうか（笑） 普通この手のイラストではここまでコントラストが強い背景は使わないのですが、CDジャケットのデザインということもありまして敢えてこういった感じにしてあります。 前作のB&Bで強いコントラストで描いてもそこまで破綻しないという考えはありましたので、無茶でもやってみれば面白いかなーと。 それが結果として良かったのかなと思います。
あとはミクがもともと色のバランスが良いのもあるでしょうね。 個人的にもこっちに踏み込んだのが緑髪（アニメ版）の鬼娘ですから、緑髪のキャラには惹かれるんです（笑）
ただジャケットが割と重い感じになったので「中身とかけ離れたりしとらんか？」と心配だったのですが、それはそこまで問題ではなかったようです。

反省点もありまして、まず髪の毛がうまく描けないということ。相変わらずこれがうまくいかんのですね…。 あとは顔に比べて腕とか足とかが細すぎるかなという気がします。えらく華奢に見えるんですよね…。
ただ、それでも以前に比べてバランスは良くはなったかなと思います。

ちなみに。
背景の柄には元がありまして、実在する和服を参考にしてます。 右近コレクションという中にある五ツ紋付振袖（比翼付）、昭和初期に織られた婚礼衣装なのだそうです。
解説に「黒地、霞に雲松竹梅　花鳥模様刺繍入り」とありますから、おそらく図柄は刺繍なのかと思います。 元の着物の方はもっと細かいというか、着物全体に柄を描いているわけでして、それを綺麗に刺繍で仕上げる職人さんの技術は本当に凄いものだと思います。
VOCALOIDの技術は着物の技術とは全く違うものですが、日本のこういった連綿とした技術のあり方というものがあってこそVOCALOID2、初音ミクは生まれたのかなと思います。 また、-m-i-r-a-i-でもそうですしニコ動などでもそうですが、VOCALOID職人さんが細かい調整を重ねてミクに歌わせているのだとか。
昔も今も職人の技というのは、驚異的で素晴らしいものなのだなと思います。


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